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脳腫瘍の初期症状は頭痛!良性と悪性の生存率と原因は?

子供にもできる脳のがん、脳腫瘍は脳がんとは呼びません。病院のデータによるとがんといえばほとんどが悪性ですが、脳腫瘍の場合は良性脳腫瘍(良性の腫瘍)が約半数を占めており、この場合、全部摘出することができれば完治が見込めるのです。今回は、脳腫瘍の初期症状と末期の症状、罹患してしまう原因、治療の方法、脳腫瘍の種類についてわかりやすく解説します。

脳腫瘍の初期症状

まずは脳腫瘍の初期症状が出ていないかチェックしましょう。一番多いのが起きたとき(起床したとき)の頭痛です。頭蓋骨の中の圧力は1日を通して常に一定ではなく、夜間、睡眠中に高くなる傾向があります。頭蓋内圧が高まると頭痛がしますが、2時間から3時間もすると治るケースが多いです。

 

早朝頭痛という呼び方をする人もいますが、これは頭蓋内圧亢進症状といって、頭の中に出来た腫瘍によって神経が圧迫されることで生じる症状です。初期症状として患者さん全体の約20%、進行してくると約70%の人が頭痛を感じるようになります。

次に吐き気と嘔吐です。これも頭蓋内圧亢進症状の一つなのですが、特に注意したいのが吐き気を感じていないのに突然噴き出すように嘔吐してしまう噴出性嘔吐です。気持ち悪くないのに突然吐いてしまったときは、学校や会社にいても、家事をしていても、今やっていることをすぐに切り上げて救急車を呼んで急患扱いで病院に行きましょう。脳腫瘍など、脳の病気が強く疑われます。

 

もしも膠芽腫(こうがしゅ:glioblastoma multiforme)という非常に悪性度の高い種類の場合は、進行が非常に早く2週間で2倍の大きさに発育してしまうことがあります。膠芽腫(グリオブラストーマ)は医師の間ではグリブラといって、グレード4の最も悪性の種類です。5年生存率は10%しかありませんが、ここ数年で7%から若干改善しています。平均余命は1年から1年半ぐらいです。

視界の異常

視界(目)がおかしくなるというのも初期症状の一つです。腫瘍によって視神経が圧迫されると、視力が低下したり、視野の一部が欠けてしまったり、物が二重にブレて見えたりします(複視といいます)。頭蓋内圧亢進が原因の視力障害は、もやもやっと雲や霧がかかったような見え方になります。最近目が悪くなったからと眼科に行ってメガネの度を強くしたにもかかわらず、矯正できない場合は、腫瘍による視神経圧迫を疑って病院で検査を受けましょう。

 

その他の症状

他にもたくさん症状が挙げられますが、代表的なものは、手足がしびれたり動かしづらくなったり、動かせなくなったりする(運動麻痺)、発声がきちんとできなくなる言語障害、しびれ、片側の耳だけが耳鳴り(ザーザーとかグワングワンという音)がする、難聴になる、物忘れがひどくなる、めまいや立ちくらみがする、言語中枢が圧迫されて失語(しつご)してしまう、顔面の神経が麻痺してしまう、顔が痙攣(けいれん)してしまうなどの症状です。これらの初期症状は脳腫瘍の種類が良性でも悪性でも起こりうるものです。眠気が強まるという症例もあります。

子供の脳腫瘍

15才未満の子供が罹患する脳腫瘍(Brain tumor)の割合は、患者全体の約8%となっていて、これは胃がんや肺がんと比較すると突出した数字です。小児がんには脳腫瘍、白血病、リンパ腫、ウィルムス腫瘍(腎芽腫)などたくさんの種類がありますが症例が少ないため、治療実績の豊富な病院で検査を受けましょう。

 

子供の脳腫瘍は生存率が低く、治らない病気という認識さえされていましたが、近年は放射線治療や抗がん剤治療が進化して、現在は全体の約40%が治癒するようになりました。子供の脳腫瘍の特徴は、病理組織が非常に多いということです。相当治療経験の豊かな医師でも小児脳腫瘍の治療方針を決定する際にはかなり慎重になります

子供の場合は小脳や脳幹の周囲に腫瘍が発生しやすい(大人は大脳が多い)傾向があるため、脳脊髄液の流れが滞って水頭症になりやすいです。つまり子供が脳腫瘍を罹患すると水頭症の症状が発生するケースが多いわけですが、頭蓋骨の間が少し開いて隙間ができることで圧迫が弱くなり症状の程度が軽くなって、初期症状を見逃してしまうことがあります。

 

子供の脳腫瘍の初期症状

子供の脳腫瘍の初期症状は、水頭症の症状(突然嘔吐する、なんとなく吐き気がする、朝に頭痛がする)に加えて、頭部だけ大きくなる、食欲がなくなる、理由もなく不機嫌になる、視力が低下する、目の動きがおかしい、寄り目になる、歩くときにふらついている(歩行障害)、めまい、食べ物や飲み物をちゃんと飲み込めなくなる・むせる、てんかん発作、けいれん、集中力がなくなる(急に学校の成績が悪化する)、気力が低下するなどです。中学生や高校生でもこれらの症状が現れることがあります。

乳児のケースではぐったりしている、やたら泣く、機嫌が悪いなどの症状が現れます。

腫瘍が大きくなり、進行してくると、上記の初期症状がさらにひどくなって、下記の症状が加わってきます。

末期の症状

末期の症状になると以下のようなケースが目立ちます。頭痛が激しくなる、嘔吐の回数が増える、麻痺がさらに悪化する、視力がさらに低下する、嚥下障害が原因で肺炎になる、脳がむくんで(脳圧が上昇)心停止が発生する、意識障害(意識の混濁)やけいれん発作が起こる、血圧と尿量が低下する(これは余命数日のことが多い)、聴力が低下する、無気力状態となりうつ病のようになる、認知症(家族の名前すら分からなくなる)などが末期の症状です。

なお、末期になって病院で寝たきりの状態になっても、聴力は保たれていることが多いです。家族の声に反応して、まぶたや口を動かしたりすることがよくあります。

 

良性腫瘍または比較的良性だった場合の生存率

髄膜腫、神経鞘腫、下垂体腺腫など脳の付属器由来の腫瘍はほとんどが良性で、1回の手術で完治する症例が多いです。

良性の腫瘍は周囲の組織を押しのけるようにして発育するので、正常な細胞との境界(境目)がはっきりしています。ですので神経を複数巻き込んでいる手術の難しい症例でも、全て摘出することさえできれば生存率は下記の通り非常に高い数字となります。

ちなみに、良性腫瘍は大きくなったり発生場所が悪いと神経を刺激して顔面麻痺になったり聴力や視力に異常が出ることがあります。全部摘出できれば障害が出ていても元に戻ると想像する方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら重度の障害が出ている場合は、リハビリで完全に元の状態に戻らない症例も一部あります

 

ただ、重度の耳鳴りが術後になくなったり、歩けなかった人が歩けるようになった例もたくさんありますので、病院や医師の情報を仕入れて納得のできる治療を受けて下さい。回復するか、寝たきりになるか、障害が残るか、命がないか・・・患者さんの運命は術者(手術の執刀医)によって決まってしまいます

※下記の生存率とは、5年後の生存率のことです。脳腫瘍全体の生存率は平均すると約75%です。ただし、悪性と良性では数字に天と地ほどの差がありますので、種類を分けて説明します。

神経鞘腫・・・生存率は97%

神経鞘腫(Neurilemoma)は病理組織が百種類以上ある脳腫瘍の中でも最も予後が良い良性腫瘍の一つで、増殖スピードは非常にゆっくりしており、何十年もかけて大きくなることがほとんどです。末梢神経を構成しているシュワン細胞(Schwann細胞)から発生するため、シュワン細胞腫とも呼ばれます。再発する可能性は非常に低く、悪性化する確率は1%未満となっています。発生部位は三叉神経が最も多く、次に顔面神経、下位脳神経(舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経)の順となります。

 

下垂体腺腫・・・生存率96%

下垂体腺腫(Pituitary adenoma)は、脳下垂体に発生する良性腫瘍です。がん(悪性)である確率は0.1%から0.2%程度です。脳の正中部にトルコ鞍という1センチ(ほとんどが7ミリから8ミリの大きさ)ほどの小さな骨の窪みがあり、そこ(視床下部と視交叉の下あたり)に脳の底にぶらさがるようにして納まっている器官が脳下垂体(下垂体)です。下垂体はプロラクチン(Prolactin)、甲状腺刺激ホルモン、成長ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、抗利尿ホルモンなどの重要なホルモンを分泌しています。

下垂体腺腫のほとんどは非機能性腺腫であり、視神経交叉が圧迫されることで視野狭窄や両耳側半盲という症状が現れやすいのが特徴です。また、成長ホルモンが過剰に分泌されることで末端肥大症(手の指や足が肥大する)になることがあります。

 

頭蓋咽頭腫・・・生存率96%

頭蓋咽頭腫(Craniopharyngioma)とは、原発性脳腫瘍の約3.5%を占める良性腫瘍です。全部摘出してしまえば治るのですが、嚢胞を伴っていたり腫瘍の一部が石灰化していることが多く、視床下部や下垂体、下垂体茎部の正常な組織と癒着したり浸潤することもあるため、手術の難易度は高いです。

 

手術が成功しても、視力障害など何らかの後遺症が残ってしまう可能性も比較的高いです。手術は術者(執刀者)の経験や技量が試されるものになります。経鼻手術(内視鏡下経鼻頭蓋底手術、経蝶形骨洞手術)の適用とならないケースは全て開頭手術となります。

また、放射線治療をした後に良性腫瘍でありながら再発(照射してから数年から10年の間)したり、再手術になることもあり、生存率が高い割に全く油断ならない種類の脳腫瘍といえます。さらに、放射線治療が原因で悪性化する可能性が僅かながらあります。放置しておくと時間の経過とともに少しずつ大きくなる症例が多く、トルコ鞍上部や第3脳室の周囲に進展します。症状は尿崩症、低身長、視野欠損、頭痛や吐き気などです。

 

髄膜種・・・93%

髄膜種(Meningioma)は、脳実質の外側を覆っている硬膜から発生する脳腫瘍で、罹患する原因として女性ホルモンとの関係が強いため、女性は男性の2倍罹患するリスクがあります。脳腫瘍患者の26%を占めるほど脳外科医はよく見かける腫瘍の種類で、症状が出ていない場合は経過観察の診断となる症例が多いです。

 

症状の出ていない患者のうち、半数以上は放置していても大きくなりませんし、自覚症状も出ません。人間ドックや脳ドックなどで偶然発見されることが多いですが、悪性転化する可能性はわずか2%です。確率は非常に低いですが、悪性(がん)の髄膜種も存在します。例えば、異型性髄膜腫(Atypical meningioma、摘出しても再発しやすいです)、明細胞髄膜腫(Clear cell meningioma)、脊索腫様髄膜腫(Chordoid meningioma)の3種類はグレード2ですし、ラブドイド髄膜腫(Rhabdoid meningioma)、乳頭状髄膜腫、退形成性髄膜腫の3つはグレード3です。グレード2は再発の確率が約4%あり、グレード3の悪性の種類は全体の約1%の頻度で発見されます。

29才までに発見された髄膜腫は摘出すべきですが、逆に、70才以上で発見されたものは大きくならないケースが目立つのでまずは経過観察となります。ほとんどの腫瘍の増殖スピードは、1年間に3ミリ以下です。

 

悪性だった場合の生存率

悪性の細胞は周囲の組織に浸潤(正常な細胞と置き換わったり、しみ込むようなイメージです)しながら発達するので、実際の手術で見た範囲全ての悪い部分を切除したとしても、目に見えない散らばった悪性の細胞が増えてまた腫瘍となり、再発(再燃ともいいます)する症例が多いです。悪性腫瘍だと生存率は低いです。

 

神経膠芽腫(グリオブラストーマ)・・・生存率6%

神経膠芽腫は、大人になってから発症するグリオーマ(神経膠腫)のうち36%から40%程度を占める頻度の高い悪性腫瘍で、すべてのがんの中でも生存率が極めて低い部類に入ります。原発性脳腫瘍のなかでは9%を占め、グレード4の最も悪性の種類です。膠芽腫は発症してから生存できる期間の中央値が約1年程度と極めて短く、病院で発見されたときには既に手遅れで余命の宣告をされるケースが多いです。

 

発症してから2年後の生存率は30%以下、5年後になると6%から8%程度となります。平均余命は1年半から2年ほどとなっています。高齢者(お年寄り)になればなるほど発症する確率が上がり、患者の半数は65歳以上となっています。年齢が高いほど予後が悪い傾向があります。画像の診断でガドリニウム増強された部分のうち95%以上が摘出できれば、生存期間が延長されるというのが医師の間の常識となっています。

ガドリニウム増強画像を患者さんや家族に見せて、これが取れれば全摘出と言う医師もいます。しかし、T2強調またはFLAIR画像で白くにじんだ部分全てにがん細胞が浸潤しているわけで、本当の全摘出は無理であるケースがほとんどです。つまり、がん細胞を全て取ってしまうということは不可能なわけです。ですので、手術後にテモゾロマイド(テモダール)という化学療法剤と放射線治療を併用して膠芽腫に対して最大限の抵抗を試みるわけですが、50%以上の確率で1年以内に再発します

 

膠芽腫を発症して10年間生存できる可能性は0%に近いですが、実際に10年以上生存できた人数はゼロではありません。もし、再発したら生存期間中央値が1年以内になるという現実を受け入れなくてはなりません。治癒不可能な脳腫瘍、それがグリオブラストーマです。ちなみに、膠芽腫は遠隔転移はあまりしませんが、脊髄に播種することがあります。

神経膠腫(グリオーマ)・・・38%

脳実質は、神経線維、神経細胞、そしてこれらの組織と細胞の隙間を埋めている神経膠細胞(グリア細胞)から成り立っていますが、この神経膠細胞由来の腫瘍のことを神経膠腫(グリオーマ:Glioma)といいます。グリオーマは脳腫瘍全体の20%から25%を占めており、悪性腫瘍である確率が高いという特徴を持っています。

 

神経膠細胞から発生する腫瘍のうち発生源となる細胞は星状膠細胞(アストロサイト:astrocyte)、乏突起膠細胞(オリゴデンドロサイト:oligodendrocyte)、上衣細胞(ependiomocyte)の3種類があります。グリオーマは何十種類もありますが、5年後の生存率が66%ある星細胞腫(Diffuse astrocytoma)のような種類もあれば、罹患者のほとんどが5年以内に死亡(生存率8%)してしまうグレード4の膠芽腫という種類もあります。

 

ですので、医師からグリオーマですと言われた場合、なんという種類が予想されるか質問をしてみてください。神経膠腫には、グレード2の星細胞腫と乏突起神経膠腫、グレード3の退形成星細胞腫と退形成乏突起神経膠腫、グレード4の膠芽腫があります。悪性星細胞腫の5年後の生存率は23%です。

転移性脳腫瘍・・・13%

転移性脳腫瘍とは、原発巣(頭蓋内以外)からがんが脳に転移をしたものを指します。転移性脳腫瘍が発症する頻度は、全ての脳腫瘍のうち17%を占めています(※アメリカのデータでは40%)。脳転移をしやすいがんの種類は、肺がんが51%、乳がんが9%、直腸がん・腎臓がん・膀胱がんが5%、胃がんが4%となっています(脳腫瘍全国統計のデータより)。

 

脳浮腫を伴い、多発性(腫瘍がいくつも同時に発生する)であることが多いことが特徴です。多発転移であった場合で、放射線療法において全脳照射を行うときは、数ヶ月したら認知障害が発生する可能性について留意しておきましょう。脳転移をしてしまった人の余命は、平均すると10ヶ月から1年となります。今までは半年程度でしたが、近年改善されてきました。多発脳転移でも助かる人もいます。

 

脳腫瘍の原因

脳腫瘍の原因やリスクとしては、加齢による免疫力の低下、遺伝子の損傷(変異)、高脂肪食品の食べ過ぎ、ストレス、がん家系、上記の脳転移をしやすいがんを罹患していることなどが挙げられます。加齢やがん家系、遺伝子の変異などは取り除けない原因(リスク)ですので、健康的な生活習慣を心がけて免疫力を高めることが重要と考えられます。

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