健康

咽頭がんの初期症状と生存率は?画像でチェックしよう!

のどのがんを解説する前に、まずは咽頭(いんとう:Pharynx)、食道(Esophagus)、喉頭(こうとう:Larynx)の説明をします。その後に咽頭癌の初期症状などを記載します。

咽頭とは鼻の奥にある鼻腔(びくう)のさらに奥に位置する上咽頭(じょういんとう)、口腔(口の中)の奥にある中咽頭(ちゅういんとう)、食道の手前にある下咽頭(かいんとう)の3つの部位のことです。ここにがんが発生すると咽頭癌と呼ばれます。この咽頭の下に連なるのが食べ物や飲み物の通り道である食道です。

喉頭蓋の役割

この3つの部分のうち、中咽頭は食べ物の通り道と空気の通り道の2つの役割を果たしています。食べ物と空気をどのように分けているのかというと、舌(ベロ)の付け根(舌根)にある喉頭蓋(こうとうがい:epiglottis)という粘膜と軟骨からなる組織が嚥下(えんげ:食べ物を飲み込むこと)の際に気管の入り口に蓋をしているのです。喉頭蓋の動きのおかげで、気管や肺に食べ物が入り込まないようになっています。ちなみに、咽頭の長さは約13センチ、食道の長さは約25センチ、喉頭は3センチから4センチあります。

喉頭とは?

喉頭とは、中咽頭の下にあり咽頭から枝分かれして気管の入り口となっている器官のことをいいます。のどを触るとのど仏がありますが、この位置がちょうど甲状軟骨がある喉頭のあたりです。喉頭も咽頭と同じく3つの部位に区別されており、喉頭の入り口を声門上(せいもんじょう)、声帯があるところを声門、その下を声門下(せいもんか)といいます。ちなみに、咳や声がかすれるなど咽頭癌の症状が出ているから病院に行ったが、急性喉頭炎または声帯ポリープだったというケースが意外とよくあります。

咽頭癌の初期症状をチェックしておこう

さて、咽頭癌の初期症状はどんなものでしょうか。チェックすべきよくある症状としては、声がかすれる喉の痛み、喉の異物感、血痰(血が混ざった痰)、血の混ざったつばが出る、食べ物が飲み込みにくい、耳鳴り、難聴、扁桃腺が腫れる、呼吸困難、首のしこり、などです。初期症状として熱が出るということはぼぼありません。もし熱が出たとしたら風邪などの病気が考えられますが、慢性活動性EBウイルス感染症に罹患していて熱が出ているというケースはこれが原因となって上咽頭がんになってしまうことがあります。

 

EBウイルスが原因でがんになる?

EBウイルスはエプスタイン・バーウイルスといって、日本人なら90%以上の人が保菌しているウイルスです。主に唾液を介して感染し、潜伏と再活性化によって維持されるため、一度感染してしまうとほとんどの人は一生排除されません。EBウイルスに感染すると1週間以内の倦怠感があった後、熱が出る、喉が痛い、リンパ節が腫れるなどの症状が現れます。39度前後の熱が続いたり、尿から異臭がしたりする場合はさらにEBウイルスに感染した疑いが強まります。EBウイルスに関しては、治療法がなく(抗生物質も効かない)、自然治癒もほとんど見込めません。感染するとごく一部のウイルスは再活性化し、慢性的に体内で活動することがあります。

部位別にみる特徴的な咽頭癌の初期症状としては、上咽頭がんは鼻づまり、耳鳴り、物が二重に見える、リンパ節の腫れ(しこり)などです。中咽頭がんは、飲み込むときの違和感やしみる感じ、嚥下障害、きちんと発声できなくなる、扁桃腺の腫れ、口が開けづらいといった初期症状が現れます。下咽頭がんは初期では目立った症状が現れないため、初期症状で早期発見するのが難しいがんです。

 

声のかすれや首の腫れは要注意

しかしながら、チェックするべき症状というものがあります。それは、食べ物や飲み物を飲む込むときの痛み(しみるような感じ)、耳のあたりの痛み、声枯れ、声のかすれ(嗄声:させい)、首のしこりや腫れなどです。下咽頭がんは発見されたときには既に進行がんである症例が多く、食道がんにも同時に罹患しているケースも多いです。潰瘍型の下咽頭がんの場合、激痛を伴うことがあり、こうなると末期の確率が高いです。

耳鼻咽喉科(耳鼻科)を受診しましょう

上記のような咽頭癌の初期症状が現れたとき、何科を受診すれば良いでしょうか?という質問をたまにいただきますが、この答えは耳鼻咽喉科(耳鼻科)となります。しかもがんかどうか診断の可能な大きな病院の耳鼻咽喉科にかかることをオススメします。

 

地方に住んでいる方は特にそうなのですが、町医者がいるような小さな病院の耳鼻科にかかってしまうと、後から精密検査が必要だ等と言われて、紹介状を持たされて大きな病院に行くことになり、二度手間となります。もし仮に咽頭癌だったとしても、小さな病院では実績も少なく、良い治療を受けられない可能性が高いので、転院を検討することにもなりかねません。

咽頭癌は画像ではどう見える?

咽頭癌を内視鏡(ファイバースコープ)の画像で見るとどのように見えるのでしょうか。初期症状の場合、画像(写真)ではこのように白っぽい盛り上がりのように見えることがほとんどです。喉のピンク色の粘膜の組織の中に、赤みがかった隆起のような形として発見されるケースもあります。画像を何枚も見比べてチェックして頂けるとだんだん特徴が掴めてくると思います。耳鼻咽喉科の医師なら、ある程度発達したがんであれば一発でこの部位がおかしいと判断できます。

 

検査にはファイバースコープを用います。スプレーを使った麻酔をして鼻から検査器具を挿入しますので、ほぼ痛みはありません。また、転移の有無を調べるために超音波検査やMRI、CTの映像と画像をチェックすることがあります。咽頭癌がある人は食道がんになりやすいので胃カメラを実施することもあります。

治療の方法

次に、初期症状でおさまっている症例の治療方法を部位別に説明します。

上咽頭がん

まず上咽頭がんですが、このタイプは抗がん剤が効きやすいうえ、放射線治療の効果が大きいという特徴があります。ですので、外科手術で切除することは少なく、化学放射線療法で治すのが一般的です。使用する抗がん剤は、シスプラチン(Cisplatin:プラチナ製剤の一つ)ネダプラチン(Nedaplatin、商品名はアクプラ)フルオロウラシル(5-FU、代謝拮抗薬)の3種類のいずれかになることがほとんどです。

 

大学病院など規模の大きい施設では強度変調放射線治療(IMRT)を受けることができます。強度変調放射線治療のメリットは、悪性腫瘍がある部分には多くの放射線を照射し、正常な組織(細胞)をなるべく傷つけないようにできるという点です。上咽頭がんの場合は高線量の放射線を照射しなければならないため、通常の放射線治療だと唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)が大きなダメージを受けて唾液の量が低下し、食事のときに飲み込みにくくなったり、虫歯になりやすくなったり口の中が乾燥するなどの後遺症が残ります。

また、中耳炎になりやすくなったり、味覚障害になり食べ物の味が分からなくなることもあります(味覚障害は通常1年以内に治ります)。強度変調放射線治療ならこういった後遺症をできるだけ抑えることができるのです。手術しなくても治ると聞くと油断してしまうかもしれませんが、実際の治療は副作用に耐え続けなくてはならず辛いものです。しかも、上咽頭がんは肺や肝臓、さらに骨に転移しやすいという特徴があり、予後の経過観察が重要となります。

 

中咽頭がん

中咽頭がんの治療は上咽頭がんと異なり、悪性腫瘍の切除とリンパ節郭清、つまり手術が基本となります。ステージ1期を除き、(病期が2期以降だと)外科手術を行う症例がほとんどです。切除した範囲が小さければそのまま縫合できますが、切除した範囲が広い場合は欠損部に他の部分からとってきた皮膚や筋肉を移植する再建手術を行います

軟口蓋を切除してしまうと発声が不明瞭になってしまうため、再建手術が必要となります。舌根部を広範囲にわたって切除してしまうと誤嚥することが多くなってしまうため、この場合も再建が必要です。中咽頭がんは治療をした後に首のリンパ節に転移する確率が高いため、手術の際はリンパ節郭清が行われるケースが多いです(頸部郭清術といいます)。

 

手術しても放射線治療でも治る確率は同じ

早期発見できた場合の治療は、放射線治療を単独で実施することがあります。ただ放射線を照射しただけで治るものなのかと思われるかもしれませんが、全国の病院のデータでは、治る確率は外科手術を行った場合とほぼ同じとなっています。体外から放射線を照射する外照射療法では、治療期間が6週間から7週間ほどかかります。副作用として粘膜炎になったり、味覚がおかしくなったり、つばの量が減ったりしますが、いずれも我慢できる程度のものです。ステージが3期か4期の場合は手術と放射線治療、化学療法(抗がん剤)を併用します。手術の前にがんを小さくしたり、術後に取り残した部分を叩いたり再発を防ぐ目的で実施されることがあります。

ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因となっている中咽頭がんは放射線感受性が高いので、初期なら放射線治療だけで完治するケースが多いです。ヒトパピローマウイルスに感染しているかどうかは、治療前の遺伝子検索や免疫染色(Immunostaining)によって鑑別が可能です。抗がん剤を使用した場合は副作用として、髪の毛が抜ける(脱毛)、口内炎ができる下痢になる吐き気を感じる、食欲がなくなるなどの症状が現れます。

 

下咽頭がん

下咽頭がんは腫瘍が大きくならないと自覚症状が出にくく、リンパ節に転移しやすいという特徴があることから、60%以上の人は初診のときには既に転移がある状態です。また、患者さんの約30%は食道がんも同時に発生している重複がんとなっています。転移ではなく2つ以上の組織に悪性腫瘍がある場合、重複がんまたは多重がんといいます。

頭頸部がんの一種である下咽頭がんの治療は手術が中心となります。前述の通り、転移しやすいため確実にがんを取りきる必要があるのです。がんの周囲をやや大きく切除するケースが多いため、腸や皮膚を採取して組織を再建することがあります。原発巣と一緒に首のリンパ節をとるケースも多いです。

 

下咽頭がんは放射線治療を単独で行うこともありますが、初期の場合とステージ3期またはステージ4期の末期で手術できない場合にのみ実施しますCTやMRIの画像で転移がないと診断された場合でも数ミリの小さな転移がある可能性が高いため、鎖骨部まで広範囲に放射線を照射して治療します。画像を見る限り消失したがんでも再び大きくなる可能性がありますので注意が必要です。急性期の副作用に、日焼けのような皮膚の変化や皮膚剥離(ひふはくり)、色素沈着などがあります。下咽頭がんの場合、化学療法を単独で行うことはほぼありません。

発症しやすい年齢は60才代

咽頭がんは男性の罹患率が高く(患者数は女性の3倍から10倍)、年齢でみると50代から80代が最もかかりやすいです。好発年齢のピークは65才から69才の間です。年齢が50才を超えている方はそれだけで罹患のリスクが高まっているといえます。逆に20才から30才での罹患率は非常に低いです。

 

喉頭がんの生存率

公益財団法人 がん研究振興財団のデータによると、喉頭がんの生存率は平均して70%以上あります。ステージ1期では98%、ステージ2期は85%、ステージ3期は82%、ステージ4期でも46%あります。生存率だけで比較すると、喉頭癌(Pharynx cancer)はまだ予後が良い方といえます。末期の場合は余命の宣告をされるケースもありますが、ステージ4でも完治は期待できます

再発率は30%程度

近年ではリンパ節転移があったり声帯摘出をするケースでも、生存率がかなり改善されてきました。再発率は治療を受けた病院によってかなり差がありますし、公表していない病院がほとんどですのでケースバイケースとなります。担当医に直接それとなく聞いてみましょう。公表されているデータをもとに再発率を推測すると、ステージ3や4でも平均して20%から30%程度となります。

 

罹患する原因としては、前述のヒトパピローマウイルス(HPV)のほかに、お酒の飲み過ぎやタバコの吸い過ぎ、刺激の強い食べ物が挙げられますが、女性の方は慢性的な貧血にも注意しましょう。

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