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肺がんの初期症状は咳とばち指!転移がある末期の余命と生存率

日本人の死亡原因の1位は悪性新生物、つまり癌ですが、その中でもぶっちぎりで1位なのが肺がんなのはご存知でしたか?大腸がんとともに年々死亡者の数が増加しており、今後もこの傾向が続くと分析されています。20代や30代の若い人でも罹患する可能性があるので、できれば早期発見したいですよね。では、肺ガンの初期症状を発見するにはどうしたらよいのでしょうか。それは症状を覚えておき、セルフチェックを欠かさないことです。

チェックすべき症状とは

下記の特徴をチェックしてみてください。肺がんの初期症状はせきと痰(たん)に現れます。風邪をひいていないのに、せき(空咳)が3週間以上続く、空咳のせいで息切れがする、痰が出るようになった、血痰(血の混ざったたん)がでる等の症状は要注意です。咳の音に特徴がでるので注意してみましょう。普通は少しでも痰がからんだような湿った咳の音がしますが、肺がんになると乾いた空咳のような音がします

 

また、途切れのない胸の痛み、肺炎または気管支炎を罹患しやすい、何をしても疲労感がつきまとうといった自覚症状も初期症状の特徴です。ずいぶん長引く風邪だな〜と思ったら、なるべく規模の大きな病院で検査を受けて下さい。さらに、痛みは胸だけでなく背中や肩に出ることもあります。最近、背中が痛いなあと思ったら要注意です。顔面がむくんできたら進行している可能性が高いです。むくみのことを医学の専門用語で浮腫(ふしゅ)といいます。顔面に浮腫が見られたらステージが進行して転移しているかもしれません。

ばち指は肺がんの症状

肺がんの症状は爪にも現れることがあります。ばち指といって、肺がん患者の2割に現れるもので、指の爪が丸くなり湾曲します。なぜばち指になるのかは分かっていませんが、がん細胞が出す増殖因子が原因と見られています。症状はまず親指か人差し指から始まって、徐々に他の指にも現れるようになります。爪が曲がったり指の先が丸くなってまるで太鼓を叩くバチのようになったらばち指の可能性があります。ただ、他の病気であるケースも多いため、信頼できる病院で検査をしてもらったほうがよいです。

 

生存率と平均余命

肺がんは前述の通り日本人の死亡原因の1位ですが、初期ならば生存率は高いです。具体的な数字で説明しますと、ステージ1期の初期なら5年生存率は80%以上です。しかしステージ2期になるとがくんと低下して42%、ステージ3になると21%、ステージ4だと4%しかありません。ただ、これは肺がん(Lung cancer)の種類や年齢、性別などを考慮しない全体の統計です。

グレード(悪性度)の高い小細胞肺癌だとこれよりも予後は悪い可能性がありますし、非小細胞肺癌の場合はもう少し良い数字になります(進行の速い肺大細胞癌は除く)。余命はステージによってかなり異なり、ステージ1なら5年後の生存率は80%から90%はありますので余命を考えなくてもまずは大丈夫です。しかしステージ3になると8割の確率で余命が5年以内となり、転移があるステージ4になってしまうと90%以上の確率で余命が3年以内となってしまいます

 

なお、1年後の生存率は30%から40%となります。なおちゃんは肺がんの平均余命を調べようとネット中をくまなく検索しましたが、どこにも情報がありませんでした。医学部出身の友人に聞いてみると、ほとんどの病院は平均余命を公表しないそうですね。上記の情報をご参考になさって下さい。ステージ4期から完治できる可能性はもちろんありますが、実際に完治しているのは全体の約2%以下の人だけです。

末期の症状

末期の肺がんの症状になると、背中や腰、肩に痛みを感じるようになります。これは骨に遠隔転移した場合です。肋骨に転移(浸潤)をすると呼吸のたびに胸が痛くなります。肝臓に転移をするとだるさ、倦怠感を常に感じるようになり、黄疸がでたり腹水がたまるようになります。脳転移をすると視覚に異常が発生し、物が見えづらくなったり、言語障害などの症状がでることがあります。

 

また、味覚に変化が起きることもあり、料理をしたときに家族が異変に気付くといったケースもあります。副腎に転移すると吐き気に悩まされることが多くなり、低血圧になることがあります。肺がんの末期になると、前兆なしに呼吸困難に陥り、そのまま亡くなるというケースもあります

初期の場合の手術方法

肺がんの初期の手術だと胸腔鏡手術を実施することがありますが、すぐに止血できないなどデメリットも多いため開胸手術が標準的な治療となります。入院日数(退院できるまでの日数)も胸腔鏡手術と開胸手術を比較しても大差ありません。一般的な治療法としては、がんが発生した肺葉の切除を行うか、もしくは片肺全摘(片方の肺を全て摘出する)となります。

 

ただし、早期の場合、初期で発見できた場合は肺葉の一部分だけを切除するケースもあります。肺葉の一部だけを切り取る手術のことを区域切除と呼びます。肺葉は右肺は3つ、左肺は2つあり、さらに肺葉の区域は右が10あり、左が8あります。区域切除により肺の機能を温存する方針が一般的です。どの血管や気管支を残すかを複数の医師で検討し、慎重にオペに臨みます。ちなみに、ほとんどの手術でリンパ節郭清(リンパ節の切除)を行い、転移がないかを確認します。

初期の治療は、上記の外科手術や放射線治療、抗がん剤による化学療法の3つがメインとなります。これ以外にも欧米では免疫療法や漢方、遺伝子治療などもスタンダードですが、日本ではあくまでも治療効果がはっきりしているもの、データとして確立されているものだけを治療法として取り入れる考え方が主流です。

 

放射線治療の副作用

放射線治療では、三菱重工が開発した放射線治療装置「Vero-4DRT」やCyberknife(サイバーナイフ)という装置を使用して、X線やγ線(ガンマ線)、陽子線、重粒子線を患部に照射してがん細胞を傷つけて治療をします。効果はありますが、がん細胞の周囲にある正常な細胞も傷つけてしまい、皮膚炎や放射線肺炎、放射線食道炎などの副作用が現れることがあります。放射線が当たった部分の皮膚が軽いやけど(日焼け)のような状態になるのが放射線治療のあとにできる皮膚炎の特徴です。これは治療をした後数週間ほどで治ります。放射線肺炎はほとんどの患者さんが気付かないうちに数ヶ月以内に治っています

抗がん剤の種類

抗がん剤は分子標的治療薬として、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤、ROS1チロシンキナーゼ阻害剤、ALKチロシンキナーゼ阻害剤が用いられます。分子標的治療薬は従来の抗がん剤と異なり、がん細胞だけに選択的に作用するため、副作用が少ないことで知られる薬です。がん化する細胞の遺伝子には特徴があり、上皮成長因子受容体(EGFR)や未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に異常が発生することで細胞ががん化します。ALK融合遺伝子はALK融合タンパクを作り出しますが、このALK融合タンパクのせいでがん細胞が異常なスピードで増殖し転移することがわかっています。

 

肺がんに適応となる代表的な分子標的治療薬は、ゲフィチニブ(商品名はイレッサ:Iressa)、アファチニブ(Afatinib:商品名はジオトリフ。EGFRとerbB-2を非可逆的に阻害できます。)、エルロチニブ(Erlotinib:商品名はタルセバ)、ベバシズマブ(アバスチン:世界で初めての血管新生阻害薬)、クリゾチニブ(ザーコリ)の5種類です。

最新の治療法

最新の治療法として、NK細胞療法(ナチュラルキラー細胞療法)、樹状細胞ワクチン療法、活性化リンパ球療法などの免疫療法があります。NK細胞療法とは、抗原感作がなくてもがん細胞やウイルスに感染した細胞を傷つけることができるNK細胞を利用した最新の治療法です。クリニックや病院に行ったときに採血をし、リンパ球だけを分離してNK細胞を増殖させ、点滴で投与するという治療になります。

 

樹状細胞ワクチン療法とは、リンパ球にがんの居所を教えて攻撃させる樹状細胞にWT1ペプチドという人工がん抗原を覚え込ませ、体内に投与するという治療法です。WT1ペプチドのおかげで、自分の悪性腫瘍をクリニックや病院に持ち込まなくてもがん抗原が入手できます。WT1ペプチドの発現率は肺癌では90%を超えており、ほかのがんの種類でも平均すると80%を超えています。どの免疫療法でも1回の採血で約50mlほどの血液をとります。

これらの最新の治療法には副作用はほとんどありませんが、一部の人は38度以下の発熱が見られます。免疫療法はステージ4の人の治療に適していて、「手術では取りきれない」と言われた方でも腫瘍の縮小や消滅が期待できるとされています。ただし、抗がん剤と比較すると医学的根拠(エビデンス)が確立されていません。全ての患者さんに効果があるというわけでもないので、この点は注意が必要です。

 

治療費は保険が適用されないので全額自費になります。治療の費用の目安は、免疫療法の種類や期間、回数によって大きく異なりますが、だいたい25万円から160万円ほどします。高額療養費制度は利用できません。ただ、クレジットカードで分割払いが可能なクリニックがほとんどです。

腫瘍マーカーは不確実

肺癌の腫瘍マーカーには、組織型に関係なくCEA、腺癌に特異性を持つSLX、扁平上皮癌で高値を示すCYFRA21-1(シフラ)とSCC、小細胞肺がんに高値を示すProGRPとNSEがあります。しかし、これらの腫瘍マーカーは初期の肺がんでは陽性とならないことが多く、スクリーニングには不向きであると言えます。ただ、抗がん剤(化学療法)の治療効果の測定や再発の監視には有効です。

 

肺癌の種類

肺癌の種類は組織型といい、大きく分けると全体の20%を占める小細胞肺がんと、非小細胞肺がんの2種類があります。小細胞肺がんは悪性度が高く、発見したときには既に転移があるケースが多いです。予後が悪く、生存率や余命も他の組織型と比較すると悪い数字です。また、ヘビースモーカーがなりやすいがんの一つで、気管支に生じることが多いのが特徴です。

非小細胞肺がんはさらに、腺がん、扁平上皮がん(へんぺいじょうひ)、大細胞がんの3種類に分類されます。肺腺癌の亜型として、細気管支肺胞上皮癌という種類もあり、肺がんの約3%を占めます。たばことの因果関係はあまりなく、進行はゆっくりです。扁平上皮がんにかかるのはほとんどが喫煙者で、多くは肺の入り口あたりにできます。腺がんと大細胞がんは肺末梢側(肺の奥の方)に多く発生します。

 

レントゲンでの写り方

肺癌はレントゲン写真でどう写るのでしょうか。CTとは違って骨の裏側などが鮮明に写りませんが、原則として白い影として写し出されます。金属や骨は白く写り、空気は黒く写ります。レントゲンに写らない腫瘍もありますので、異常なしといわれても安心してはいけません。ヘリカルCTでは腫瘍が真っ白な塊として画像になりますので、レントゲン写真よりも分かりやすいです。

肺がん検診の方法

肺ガン検診の内容は、問診と胸部X線検査、喀痰細胞診の3つになります。喫煙指数もチェックされます。喫煙者などのハイリスクの人は喀痰細胞診が実施されます。もしここで異常があれば精密検査となり、CT検査や気管支鏡検査が行われます。費用は2500円から5000円ほどです。精密検査や再検査の費用は2万円程度かかります。肺がん検診の結果は数週間程度で自宅や会社に郵送されますが、結果の説明のため、病院に直接行く必要のある場合もあります。

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