健康

刺身の食中毒の潜伏期間は?症状と予防について

今や世界的に一般化した食事である刺身やお寿司。しかし鮮度が落ちていたり、管理が適当だったりすると、夏でも冬でも食中毒になってしまいます。しかも新鮮であっても、寄生虫が人間の体内に入ってしまうと有効な対処法が限られてくるので大変です。今回は、刺身の食中毒の原因菌と対処法について調べてみました。

原因となる食べ物を食べてから症状が出るまでの潜伏期間は3時間から2日間と原因菌によってかなり差がありますので、何時間後になるかは下記の詳細をご覧下さい。熱が出たとき、腹痛などの痛みがあるときは、ロキソニンなどの解熱・鎮痛効果のある薬で対処します。刺身の食中毒を予防するために、海外で日本料理店に入らないようにすることをオススメします。

 

なおちゃんは海外(東南アジア)の地方にある日本料理店で寿司とお刺身を食べたのですが、マグロ、サーモン、鯖のうちどれか(全部!?)にあたってしまい、原因菌によって激しい腹痛に見舞われました。食中毒になっていた期間は3日程度でしたが、胃痛と嘔吐、さらに下痢が止まらずに脱水症状になってしまいました。しかも、嘔吐してから4時間ぐらいは食べ物はおろか水分も受けつけない(また吐く)ので、お腹がすいてしまって辛い思いをしました。

後で店員に聞いたのですが、食中毒の原因となったお刺身は冷凍していたものを解凍して使っていたということですので、鮮度管理がきっちりなされていなかったのではと推測しています。そこはよく行く寿司屋で、気まずくなるといけないので文句やクレームは言いませんでした。お店で料理を食べるときの対処法は、魚や野菜、果物といった生ものを食べるときに酸っぱい臭い(腐ったような臭い)がしないか、色が変色していないかなどをチェックすることです。

 

刺身の食中毒には3パターンあります。細菌性食中毒、ウイルス性食中毒、そして寄生虫が原因となるものです。それぞれ解説します。(魚以外だと毒キノコなどの自然毒や化学物質による食あたりも考えられます。)

細菌性食中毒

ナグビブリオ

淡水と海水が混じった川の河口付近や海水に生息しているナグビブリオはコレラ菌と同じ種類で、体内で毒素を発生させながら増殖するので症状は激しく、水みたいな便が大量に出ますコレラ菌の仲間なので、症状も似ていて、嘔吐や38度ぐらいの熱、腹痛を伴います。原因となる食べ物は、エビやカニ(特に東南アジアからの輸入もの)、まぐろなど冷凍のお刺身、生のかき、飲料水などです。

予防の方法としては、十分に加熱をし、下痢をしている人は感染の疑いがあるため調理をしないことです。ナグビブリオの潜伏期間は2時間から72時間となっています。食べてから時間がたたずに比較的すぐに症状が出ます。冷凍してあるお刺身だからといって全く安心できないので注意しましょう。経口感染以外の感染経路になると、関節炎や髄膜炎、菌血症、敗血症になってしまう可能性があります。ナグビブリオ菌の感染の有無は、下痢の糞便を採取して検査を行います。重症にならなければ1週間以内に自然治癒します。ナグビブリオ食中毒に関しては、他の人にうつるということはありません。

 

ウェルシュ菌

ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)は、嫌気性桿菌の一種で悪玉菌の代表格です。ビフィズス菌などの善玉菌と同じく常在菌で、人間の腸や土、水の中など自然界のありとあらゆるところに生息しています。牛や鶏、魚が保菌していることが多く、野菜や貝類、香辛料の中にも潜んでいることがあります。ウェルシュ菌には5種類ありますが、人間の食中毒の原因菌となるのは、エンテロトキシン(enterotoxin)という易熱性の毒素を発生させるA型菌がほぼ全てです。

潜伏期間は6時間から15時間で、ほとんどのケースで12時間以内に腹部の膨満感が症状として現れ、ナグビブリオのように水のような便が出ますが、たいてい2日以内に自然に治ります。ウェルシュ菌による細菌性食中毒は数ある食あたりの中でも比較的軽症な方で、薬を飲むなど特別な治療を行う必要はありません。お刺身のネタや寿司ネタ、おつまみなど加熱調理した食べ物はすぐに食べ、残りは素早く冷蔵庫に入れて冷ますことが食あたりの予防となります。

 

ビブリオ・バルニフィカス

ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)は腸炎ビブリオに似ていて、比較的温度が高い海水で増殖します。国内に生息しているアサリの50%が感染しているというデータがありますが、日本のアサリは原則として冷蔵で流通され、しかも加熱して食べるため問題はないです。ボラ、スズキなどの刺身や寿司、牡蠣やアサリなど貝類からの感染例が多いです。ビブリオ・バルニフィカスは人食いバクテリアという別名があります

食あたりであれば重症にはなりませんが、肝硬変など肝臓に疾患のある人、糖尿病の人、傷から直接菌が血液中に侵入した人は敗血症のような症状となり、死亡率は60%以上となります。海岸を歩くときはサンダルを履くなどして人食いバクテリアの感染を予防する必要があります。経皮感染型(傷口から感染)は全体の8%となっています。

 

熊本県、佐賀県、福岡県の患者数が多く、特に注意が必要です。初期症状は数時間後から24時間以内に現れ、悪寒と足の皮膚の痛み、血圧の低下などです。人食いバクテリアの症状は数分単位で進行するため、初期症状に気付いたらすぐに大きな病院で診察を受ける必要があります。治療にはドキシサイクリン(Doxycycline)というテトラサイクリン系抗生物質や第3世代のセフェム系の抗菌薬が使われます。

セレウス菌

この通性嫌気性菌は常在菌で、10人に1人の割合で大人の腸の中に生息しています。芽胞(がほう:spore)を形成し、熱湯消毒にも耐え、アルコール消毒でも不活化しないというタフな食中毒の原因菌です。

 

セレウス菌(Bacillus cereus)は、お米や小麦粉など穀類等が原料となる食べ物からの感染例がほぼ全てです。オムライス、スパゲティ、焼きそば、チキンライス、寿司(シャリにセレウス菌がいる可能性がある)、弁当、焼き飯、ピラフ、プリンからの感染が特に多く、原因は調理後すぐに冷蔵庫で低温保存しなかったことと判明しています。刺身を食べるときは白米を使った主食も一緒に食べる可能性が高いため、注意しましょう。

腸管出血性大腸菌(O111など)

腸管出血性大腸菌感染症を引き起こす菌は約170種類あり、その中でもベロ毒素(verotoxin)を出して腸炎になるものは腸管出血性大腸菌といいます。代表的なものはO26やO111などです。ベロ毒素は大腸の中の腸管上皮を損傷させて腸管出血と下痢を引き起こします。感染源はほとんどが牛肉ですが、国産のイクラから集団感染した事例もあります。潜伏期間は4日から8日と長く、血便や水様便、腹痛などの症状がでます。治療は、抗菌薬や乳酸菌が入った整腸剤の投与となります

黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)はグラム陽性球菌の一種で、顕微鏡で見ると個々の細菌が集まって集団となっています。健康な人でも30%以上の人が保菌しているといわれています。皮膚に存在する常在菌であるため、素手を使った手作りの食品が感染源となります。例を挙げると、刺身、寿司、おにぎり、サンドイッチ、お弁当などです。外国に行くと刺身や寿司を作るときにビニールの手袋をはめて調理しているところをよく目にしますが、あれは感染しないよう対策しているのです。

 

潜伏する時間は30分から6時間と短く、食事をしてからすぐに症状が現れるケースが多いです。黄色ブドウ球菌が作り出すエンテロトキシンという毒素は熱や乾燥に強いため、加熱しても中毒を引き起こします。20分間、沸騰させた熱湯で煮沸消毒してもエンテロトキシンは破壊できません。また、胃液や腸液の消化酵素にも強いという特徴があります。

リステリア・モノサイトゲネス

リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)はマイナス1度という低温でも増殖可能な微生物です。冷蔵庫に保存しておいた刺身や寿司ネタが菌に汚染されるということもあります。食中毒の感染源として、牛乳、チーズ、ヨーグルト、肉(特に生ハム)、野菜、魚介類(加工品)などが多いです。

 

熱に弱いという性質があるため、加熱しなくても食べられる食べ物から感染するリスクが高いです。リステリア・モノサイトゲネスの潜伏時間は1日から3か月までで、妊婦、赤ちゃん、高齢者など免疫力の弱い人は髄膜炎や敗血症になって重症化することがあります。厚生労働省のデータによると、リステリア感染症の年間の患者数は推定で200人とされています。

 

ウイルス性食中毒

A型肝炎ウイルス

日本におけるA型肝炎ウイルス(HAV)の感染源はカキ(魚介類)と冷凍のエビですが、輸入した野菜が汚染されていたケースも報告されています。また、感染者の糞便が媒介する経口感染により発病する可能性もあります。衛生環境の悪い海外で刺身や寿司を食べたことにより感染する事例があります。A型肝炎ウイルス(Hepatitis A Virus)に関してはこれといった治療方法がありません。

回復するには約3ヶ月の時間がかかりますが、急性肝炎で済むことが多く、回復すれば免疫を獲得できます。潜伏期間は4週間前後で、症状は黄疸(皮膚が黄色になる)、38度以上の熱、倦怠感(だるい)、吐き気、下痢などです。A型肝炎ウイルスはワクチンの接種で予防ができますので、海外に行く前にワクチンの接種をおすすめします。

 

E型肝炎ウイルス

E型肝炎ウイルスの感染源と感染経路はA型と同じで、東南アジア、アフリカ、インドなどが流行地となっています。日本では鱈(タラ)の刺身による食中毒が発生しています。潜伏期間が平均で6週間と長いことから、原因となった食品の特定が難しいとされています。ごく稀に劇症化する事例がありますが、重症化しない一過性の感染となることがほとんどです。肝炎になるとA型と同じく黄疸の症状がでる可能性が高いです。E型肝炎ウイルス(経口伝播型非A非B型肝炎)のワクチンは現在開発中ですが、感染しても安静にしていることで自然治癒します

寄生虫の情報

旋尾線虫症

ホタルイカ、スルメイカ、ハタハタ、タラ、スケソウダラ、アンコウなどの内蔵に寄生している旋尾線虫(せんびせんちゅう)は、体長は5ミリから10ミリありますが、体幅が0.1ミリしかないので、アニキサスと違って肉眼で見つけて取り除くことが困難です。この寄生虫の寄生率は全体の2%から7%であり、体内に侵入する原因のほとんどが生のホタルイカの踊り食いであるとされています。

 

また、内蔵つきで冷凍されていないものを刺身で食べることも危険とされています。マイナス40度で40分以上冷凍保存されたものならば寄生虫は全滅しているため食べても大丈夫です。旋尾線虫症(Type X)が体内に入ったときの症状は、腹痛や嘔吐、麻痺性腸閉塞です。最長で10日間程度、腹痛が続くことがあります。また、お腹のあたりが腫れる(ミミズ腫れ)皮膚爬行症を発症することがあります。

アニサキス

アニサキス(Anisakis)は線虫と呼ばれるタイプの寄生虫で、体長は約3センチ、体幅は1ミリ程度あるため、肉眼で確認できます。画像のように半透明で白っぽい色です。サバ、タラ、イワシ、鰹、鮭、イカ、サンマ、ブリ、アジなどの魚介類が感染源です。これらは刺身で食べることもありますし、寿司のネタにもなりますので食中毒に十分な注意が必要です。

ただ、人間の体内では成体になることは不可能です。ですので、体内で産卵されることはないので、増えるということもありません。治療は、治療器具の付いた内視鏡(胃カメラ)でアニサキスを摘出することで行います。症状は、食後数時間であらわれる腹痛と嘔吐です他の食中毒の症状と決定的に違うのは、嘔吐したときに口から出るのは胃液のみということです。胃や腸の中の内容物は出てきません。

クドア・セプテンプンクタータ

ヒラメやマグロ、エビ、タイ、イカ、カンパチに寄生しているクドア・セプテンプンクタータは粘液胞子虫(Myxosporea)の一種で、顕微鏡で見ると画像のように花びらのような形をしています。画像では鮮明に写っていますが、実際は肉眼では確認できないほど小さい(10マイクロメートル)寄生虫です。クドア・セプテンプンクタータが原因になる食中毒は7月から10月の夏期に多く、冬は少ない傾向にあります。

食後、4時間から8時間以内に腹痛や嘔吐、下痢が認められますが、ほかの人にうつる(二次感染)ということはありません。クドア食中毒の対策として、マイナス20度以下で4時間以上冷凍することで失活することが知られています。

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