健康

心筋梗塞の前兆をチェックしよう!左肩の痛みは放散痛?

日本人が罹患して死亡してしまう可能性が高い病気を三大疾病といいますが、その中に心筋梗塞も入っています。三大疾病とは、がん(悪性腫瘍)、急性心筋梗塞、脳卒中のことで、日本人の死因のなんと55%も占めているのです(厚生労働省の人口動態調査のデータです)。

心筋梗塞、不整脈、心不全、狭心症、大動脈解離などの心疾患(心臓の病気)で死亡する確率は16%もあります。このページでは、心疾患の症状やニトログリセリンなどを使った治療法、とるべき食事、検査の方法、予防する方法、後遺症や原因などについて詳しく解説していきます。

 

ためしてガッテンというテレビ番組でも放送されていましたが、心筋梗塞の前兆をチェックすることができます。チェックリストには、病院の循環器内科で心電図の検査をして異常がないかチェックする、背中や肩、歯、耳たぶなどの痛みがないか確認する、動脈硬化が進行していないか検査をするといった項目があります。特に、心臓が痛むはずなのに背中や左肩に痛みがでるのを放散痛といい、見逃しやすい初期症状となります。放散痛の症状があってもただの肩こりと勘違いしてしまうのです。

若いときに心筋梗塞(myocardial infarction)や大動脈解離(Aortic dissection)になってしまう原因の一つとして、遺伝が考えられています。心筋梗塞の後遺症は不整脈と心不全であり、どちらも日本人の死因として多いため本当の闘病は手術した後といえます。

 

狭心症は心筋梗塞の前段階ですが、自覚症状に乏しく治療も難しいですが、予防は可能です。治る心臓の病気ではありますが、初期症状を見逃してはいけません。狭心症の薬はニトログリセリンが有名で、口の中に入れてペロペロと舐めて服用します。最近はスプレータイプのニトログリセリンもあります。心筋梗塞の前兆と自然気胸(Pneumothorax)の症状は似ていて、呼吸困難や動悸などがありますが、違いは頻脈と咳です。自然気胸の場合は鈍い痛みを感じることもあれば、激痛となることもあります。

心筋梗塞とは?

心筋梗塞(myocardial infarction)とは、心臓に血液を供給する冠動脈(左前下行枝、右冠動脈、左回旋枝)の3本のどれかがプラークによって詰まり、血流が途絶えて心筋が壊死してしまう虚血性心疾患という病気のことをいいます。血管のプラークは虫歯の原因となる単語とは意味が異なり、粥腫(じゅくしゅ)または専門用語でアテロームとも呼びます。この病気の別名として、心臓麻痺または心臓発作(heart attack)という呼び方もあります

 

動脈硬化の原因となるアテロームは何でできているかというと、酸化LDLを取り込んだマクロファージの死骸です。LDLは健康番組でもよく耳にする悪玉コレステロールのことで、マクロファージ(Macrophage)とは体内の異物を捕食する白血球の一種です。体内で悪玉コレステロールの割合が高まると動脈硬化になりやすく、心臓麻痺の原因となります。高血圧などによって粥腫が破れて血栓が発生し、心筋梗塞から心破裂に至る症例も見られます。

心臓への血流が止まってしまうと、約40分後から心内膜側の心筋は壊死が始まります(非貫壁性梗塞:心内膜下梗塞)。再灌流療法などの治療をしなければ心外膜側の心筋も壊死してしまい、24時間後までに貫璧性梗塞となってしまいます。

 

発作が発生しやすい時間帯は早朝6時から朝の9時までで、季節では冬が多くなっています。冬は外の空気の温度と室温との差が特に激しく、心臓に負担をかけやすい環境なのです。また、人間は眠りから覚めた直後が1日のうちで最も血圧が高まる時間となっています。ですので、一番前兆や発作に注意したいのは、冬の早朝ということになります。

閉塞した血管に再び血流を回復させる手術としては、バルーン治療やステント治療といったカテーテル治療が主流です。カテーテル治療とは、足の付け根や手首の動脈から直径2ミリほどの細い管(カテーテル)を心臓の動脈まで通すという治療法です。バルーン治療は、このカテーテルに小さな風船をつけたものを患部まで挿入し、膨らませて閉塞した血流を元に戻すというものです。風船は膨らませたあと体外に抜き取ります。

 

バルーン治療のデメリットとして、また閉塞状態に悪化してしまう可能性があることが挙げられます。カテーテル治療の術後3ヶ月以内に35%の患者が再狭窄してしまいます。ステント治療とは、カテーテルに広げると元に戻らない金属で作られた筒を患部に留置して血流を確保する治療法です。バルーン治療と併用することで再狭窄率は20%以下になります。動脈の内側には神経が通っていませんので、手術中の痛みはありません

急性心筋梗塞(AMI)の死亡率は放置しておくと15%と高い数値となっていますが、救急車を呼んですぐに再灌流療法(冠動脈インターベンション)などの治療を行った場合、1ヶ月以内の死亡率は7%となります。生存率は93%ということになります。死亡する方のほとんどが発作が起きてから1時間以内となっていますが、1時間以内に亡くなってしまう原因のほとんどが、心室細動という不整脈によるものです。前兆があらわれたらすぐに救急車を呼びましょう。

 

病院に搬送されたときに心筋梗塞が原因で低血圧になっている場合は、カテコールアミン(昇圧剤)の投与による治療を行います。投与されるカテコールアミンは、イノバン(ドパミン塩酸塩)やドブトレックス(ドブタミン塩酸塩)が一般的です。心室性期外収縮を発症している患者さんには、キシロカイン(リドカイン塩酸塩)を静脈注射します。

心拍数が著しく低下していて不整脈がみられるときは、抗コリン薬であるアトロピン硫酸塩(アトロピン硫酸塩水和物)を投与します。AMIの合併症としての心不全を予防するためにラシックス(フロセミド)というループ系利尿薬を用いることがあります。さらに、Ca拮抗薬や別ページで解説しているインデラルというβ遮断薬を用いる可能性もあります。

 

粥腫から発生した血栓を溶かすための薬として、ヘパリンナトリウムとウロナーゼという血栓溶解薬がよく使用されます。大きな血栓の場合は、より効果の強い血栓溶解薬であるグルトパ(アルテプラーゼ)が使われることもあります。

心筋梗塞を罹患したときの心電図の変化は、まず、数時間以内にSTが上昇し、同時にT波が増高します。次に12時間以内にQ波が出現し、2日後から1週間の間はT波が陰性化して冠性T波となります。その後1ヶ月から3ヶ月の間にSTが正常化します。発症直後と比較するとこの時点で心電図はだいぶ元に戻っていますが、異常なQ波は残ります。このような変化をたどるので、心電図を分析することで、閉塞が発生した時期を推測することも可能です。

 

狭心症とは?

狭心症(angina pectoris)とは、心臓の冠動脈が動脈硬化などによって虚血状態に陥り、胸が締め付けられるような痛みや圧迫感が感じられる症状のことを指します。心臓発作と違い、痛みや前兆は15分以内に消失してしまうため、病院に行かずに放置して不安定型狭心症に移行してしまうケースも多いです。

心臓発作と狭心症の違いは、心臓麻痺は血管が完全に閉塞(詰まってしまう)のに対して、狭心症は狭窄(きょうさく)して心筋が虚血状態になるだけという違いがあります。ただ、これらの病気は冠動脈がアテロームによって狭まってしまうという共通点があり、急性冠症候群と総称されるようになりました。ちなみに、動脈硬化は心臓麻痺だけでなく、脳梗塞(cerebral infarction)や脳出血、くも膜下出血といった脳卒中の原因にもなります

 

狭心症にならないための食事は、にんじんやブロッコリーなどの野菜、ワカメや昆布などの海藻、しいたけやえのき茸などのきのこ、玄米が有効です。また、イワシやサバ、マグロなど青魚の脂肪に含有されているDHA(ドコサヘキサエン酸)も狭心症の予防効果があります。

食事の偏りを減らすことで血管の粥状硬化(アテローム性動脈硬化)を予防することができます。粥状硬化になりやすい食事というのは、牛乳やバターなどの動物性油脂、アラキドン酸(Arachidonic acid:高血圧症の原因)、コーン油やサラダ油に含まれるリノール酸(linoleic acid)、マーガリンやコンビニで売っているパンに多く含まれるトランス脂肪酸(trans fat)などです。

 

心筋梗塞の前兆は背中と肩の痛み

心筋梗塞になってしまう前兆として、不整脈(頻脈、徐脈)、背中または左肩の痛み、心臓のあたりの違和感や痛み、呼吸困難、動悸、何もしていないのに冷や汗が出る、左手の指が痛い、顎が痛いなどが挙げられます。なぜ左肩や左手が痛むのかというと、心臓の痛みを感じる神経は脳から左肩を通って心臓まで達しているからです。ですので、心臓で痛みを感じるべきなのに、放散痛として左肩や左手の指が痛くなってしまうことがあるのです。これらの症状は必ず日頃からチェックしておきたいですね。

ただし、注意したいのは急性心筋梗塞を発症した人のおよそ半数がこれらの前兆がないのです。症状が無く心筋の壊死が始まって心室細動で呼吸困難になり、そのまま倒れてしまう人もいるのです。強い痛みなどの心筋梗塞の前兆があるということは救急車をすぐ呼べるということなので、不幸中の幸いといえます。

 

狭心症の初期症状

狭心症の初期症状は心筋梗塞と似ています。胸の痛み、胸の違和感、胃痛、喉の痛み、歯の違和感などです。歯や顎が痛くなるというのは血流が悪化している証拠です。また、食べ物を飲み込みづらくなったり、薬の錠剤やカプセルを飲み込めなくなったりしたら、それも初期症状かもしれません。ただ、これらの初期症状は心臓発作と比較すると軽いものですし、糖尿病を罹患している人は痛みに気付きにくいために見逃してしまう可能性もありますので要注意です。

上記に挙げた症状は、狭心症だと数十秒から長くても15分程度でおさまってしまいます。座って楽にしていると痛みもなくなって治ったと勘違いしてしまいやすいのが特徴です。めまいや一時的な失神は症状が進んでいると考えられますので、精密検査を受けた方がよいでしょう。

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